法律・建築基準
2項道路
建基法42条2項に定められた道路なので、一般にこう呼ばれる。みなし道路ともいう。市街地内にある幅員4メートル未満の道で、特定行政庁が指定し、建築基準法上の道路とみなしたもの。つまり現行の建築基準法の規定では、(都市計画区域において)敷地が4メートル以上の道路に接していないと原則として建築が建てられないことになっているが、法施行前の要件を満たさない敷地を救済するための規定である。
みなし道路
建基法42条2項に定められた道路で、一般的には2項道路と呼ばれる。幅員4m未満でも、1.8m以上あり、昭和25年11月25日以前(この日以降に計画区域内の場合には、指定の日の前日以前)から建物が立ち並んでいる道路で、特定行政庁が道路としてみなした道路を指す。
クーリングオフ
一定期間、無条件で契約の申し込みの撤回または解除ができる制度。訪問販売による強引なセールスなどから消費者を保護するために設けられた制度で、一定の条件の下で売買契約を無条件に解除できるというもの。
クーリングオフの条件は、売主が不動産会社などの宅建業者で、かつ契約が行われた場所が「宅建業者の事務所等」以外であること。また、契約解除をするには、売主からクーリングオフ制度について説明した書面をもらってから、8日以内に内容証明郵便などで契約を白紙撤回する旨の通知をする必要がある。その通知があったときには、売主は速やかに手付金等受領した金銭を返還しなければならない。
セットバック
都市計画区域内において建築物を建築する際、建築物を建基法の規定により道路の境界線から一定の距離を後退させることをいう。
ミングル
友人同士が同じ部屋にある別々の1室に、それぞれ賃貸契約を結び、居室以外を共同で使用する契約形態。
一般媒介契約
一般媒介契約とは、次の(1)及び(2)の特徴をもつ媒介契約のことである。
(1)依頼者(すなわち売主などのこと)が「依頼した宅地建物取引業者」以外の「他の宅地建物取引業者」に重ねて媒介を依頼することが原則的に自由である。
(2)依頼者自身が、自分の力で取引の相手を発見し、直接契約することが原則自由である。
仮換地
土地区画整理事業の円滑な進捗と関係権利者の権利関係の速やかな安定を図るために、土地区画整理事業の施工者が、換地処分を行う前において、施工区域内の従前の宅地について仮に使用収益できる土地を指定する処分を仮換地の指定処分といい、このようにして指定された土地を仮換地という。
仮登記
所有権移転登記などの最終登記(本登記)をなしうるだけの実体法上または手続き法上の要件が完備していない場合に、将来の登記順位を保全するため予めなす登記を「仮登記」という。
仲介
一般的には当事者の間に入って便宣を図ったり尽力することで、不動産取引では他人間の契約行為の締結に尽力する媒介行為を「仲介」という。宅建業法等の法令では「媒介」という。なお、宅建業者が行う不動産広告では取引態様の明示として「媒介(仲介)」又は「仲介」とされる。宅建業者が行う不動産取引の仲介の法律的な性格は商法でいう他人間の商行為の媒介である仲介営業(商事仲立ともいう。商法第543条以下)の場合のほか、一般私人間の企業経済活動ではない不動産取引の媒介をする民事仲立の場合があるが、民事仲立については法律に特別の規定はない。媒介契約は、依頼者からの依頼に基づき媒介という事実行為を目的とするので準委任の規定(民法656条)と解され、委任の規定(民法643条以下)を準用するべきものとされている。
保存登記
狭義には不動産先取特権の保存登記(不動産登記法1条)を指すとされているが、広義には未登記の不動産について初めてなす所有権の登記も含まれる。
修繕積立金
マンション等の区分所有建物を維持、保全していくためには、共用部分の小規模修繕以外に、一定年数ごとの計画的大規模修繕、災害時による不測の修理が必要になる。このような日常の小さな修繕以外の一時の多額の費用の収支に備えるために毎月の管理費とは別に積み立てる資金が修繕積立金である。宅建業法では、マンションの賃貸外の契約にあっては、修繕積立金等の計画的な維持修繕のための費用を積み立てを行う旨の規約の定め(その案を含む)があるときは、その内容及び既に積み立てられている額については重要事項として説明する必要があるとしている。
借地権
借地権とは次の2つの権利のどちらかのことである(借地借家法第2条)。
(1)建物を所有する目的で設定された地上権
(2)建物を所有する目的で設定された土地賃借権
債務不履行
債務者が、その責めに帰すべき事由(故意、過失)によって、債務の本旨に従った履行をしないことを「債務不履行」(民法第415条)という。 債務不履行には、履行期に遅れた「履行遅滞」、履行することができなくなった「履行不能」、履行はしたが十分でなかった「不完全履行」の3つの態様がある。履行遅滞と不完全履行で、まだ履行の余地のある場合には、裁判や執行によって債務自体の履行の強制もできるが、債権者はこれとともに損害賠償の請求もできる。また、履行不能または不完全履行で、履行の余地がない場合においても、これに代わる損害賠償の請求ができる。また、双務契約などの場合には、債権者は契約を解除して自己の債務を免れ、もしくは原状回復を図ることができる。
区分所有権
分譲マンションのように独立した各部分から構成されている建物を「区分所有建物」という。
印紙税
印紙税法で、課税対象となる文書を作成するときに必要な国税であり、契約書に印紙を貼る形で納税する。なお、不動産の媒介契約書は委任状に該当するものとされ、非課税文書であるが、期限までに相手方が見つからないときには買い取る等の特約をつけると、その記載内容によっては課税されることがある。
原状回復義務
契約期間の満了に伴う賃借人からの解約の申し入れ等によって、建物賃貸借契約が終了したとき、建物賃貸借契約は将来に向かって消滅する(民法第620条)が、賃借人は当該建物を賃貸借契約の開始時の状態に戻す義務を負う(民法第545条・第546条)。
土地権利
所有権、旧法地上、普通地上、旧法賃借、定期地上、普通借地を含む権利のことをいう。
地目
土地の現況及び利用状況による区分をいい、不動産登記法施行令3条によれば土地の主たる用途により、田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、墓地、鏡内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園、雑種地の21種類に区分されている(不動産登記法施行令第3条)。
売主
不動産の売買契約をもとに土地や住宅(不動産)を売る人(又は法人)で買主にとって売買契約を結ぶ相手。取引態様の一つであり、不動産広告では「売主」という用語が使用される。一般的には、不動産の売主と所有者は同じだが、時には登記簿上の所有者と売主が一致していない場合があり、所有者の代理人が売主になっていることもある。
契約不適合責任
2020年4月1日の民法改正で、瑕疵担保責任から契約不適合責任へ変更になりました。
瑕疵担保責任は、隠れた瑕疵に対する責任で、買主が通常の注意を払っても知り得ない瑕疵を指し、売主が知らせない場合で、普通に注意を払っておいても気付かないようなものがこれに該当しました。
また、瑕疵の判断としては、個々の契約の趣旨に照らせば目的物が通常有すべき性質・性能を欠いていることとして解されており、雨漏りといったものについては修繕の対象となっていました。
契約不適合責任では、『売買契約や請負契約の履行において、引き渡された売買の目的物が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しない場合に、売主・請負人が買主・注文者に対して負うこととなる責任。』となっており、契約書に記載されている内容に左右されます。
先程の雨漏りについては、契約書に建物の雨漏りについて記載が合った場合、修繕や保証の対象にはならなくなります。
媒介契約
宅地建物取引に関する法律用語の一つ。「媒介」とは、宅地建物取引業者が、売買取引・交換取引・賃貸借取引について、売主と買主(又は貸主と借主)との間に立って、取引成立に向けて活動するという意味。宅地建物取引業法では宅地・建物の売買・交換に関して宅地建物取引業者が媒介の依頼を受けた際にその依頼者との間で締結する契約が媒介契約とされている。
守秘義務
宅建業者およびその使用人、その他の従業者は、正当な理由がなければ、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならず、これを「守秘義務」という。 宅地建物取引業を営まなくなった後、またはその使用人等でなくなった後でも同様とされている。
定期借地権
平成4年8月1日より施行された借地借家法で新たに創設された制度で、借地権を普通借地権と定期借地権に区分した。一定の要件の下、更新が無く契約所定の期間で確定的に借地関係が終了する借地権を定期借地権という。
容積率
建築物延べ面積の敷地面積に対する割合をいう。建築物の規模とその地域の道路等の公共施設の整備状況とそのバランスを確保すること等を目的として、都市計画区域内または準都市計画区域内においては、用途地域の種別及び前面道路の幅員により、その最高限度が制限される。[容積率(%)=延べ面積/敷地面積×100]。前面道路の幅員が12m未満の場合には、用途地域によって限度が規定されている。
専任媒介契約
媒介契約であって、依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて依頼することが禁止されている契約のことを「専任媒介契約」と呼ぶ。(専任媒介契約は、依頼主が自己で購入希望者を見つけることができる。)
専属専任媒介契約
宅地建物取引に関する法律用語の一つ。宅地建物取引業法及び、同法施行規則では、専任媒介契約のうち依頼者が媒介を依頼した宅地建物取引業者の探索による相手方以外のものとは契約締結できない旨の特約を定めたものが専属専任媒介契約と規定されている。(専属専任媒介契約では、依頼主は自己で購入希望者を見つけることができない。)
専有面積
専有面積とは、分譲マンション等の区分所有建物の専有部分(区分所有権の目的となる建物の部分)の面積をいうが、この専有面積に共有部分のうち、特定の部分を特定の区分所有者に専用的に使用させる部分の面積を加えた面積のことを専有面積ということがある。しかし、不動産の表示に関する公正競争規約では区分所有建物の場合は専有面積を表示することとされており、これに車庫、地下室などの面積を含むときは、その旨及びその面積を表示することとなっている。なお、専有面積の算出法には壁芯計算と登記簿に記載されている内法計算の2つがあるが、区分所有建物の床面積は、規約で別段の定めをしない限り「壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積による」(区分所有法第14条3項)として、内法計算によることとしている。
建ぺい率
建蔽率とも言う。建築物の建築面積の敷地面積に対する割合をいう。都市計画区域内では、建築物の日照や通風などを確保するために、用途地域によって建ぺい率の最高限度が制限されており、建ぺい率と容積率により、建築できる建物の大きさが規定される。[建ぺい率(%)=建築面積/敷地面積×100]。建築する建物の建ぺい率の限度は、原則的には用途地域ごとに、都市計画によってあらかじめ指定されている。
建物延床面積
建築物の全ての階の床面積(外壁または柱の中心で囲まれた面積)の合計のこと。容積率の算出に用いられているが、その際には駐車場、地下室等について、ある一定の割合まで含めなくて良いという措置が取られている。
建物面積
不動産広告では、建物の面積は延べ床面積で表示され、建設面積は表示されない。従って、バルコニーやベランダ等の面積は含まれないが、地下室は含まれる。
建築確認
建築物を建築しようとする場合には、建築主はあらかじめ、その計画が建築物の敷地、構造および建築設備に関する法令に適合するものであることについて、建築主事の「確認」を受けなければならない。建築確認申請を受けなければならないのは、
(1)特定の用途または一定の規模以上の建築物を建築し、または大規模の修繕もしくは大規模の模様替えをしようとする場合(建基法6条1項1号~3号)、
(2)都市計画区域(都道府県知事が指定する区域を除く)内、または都市計画区域外で都道府県知事が指定する区域内において建築物を建築しようとする場合である(同条1項4号)。
手付け
売買、賃貸借の契約に際し、当事者の一方から相手方に対して交付される金銭その他の有価物をいう。代金の全部又は一部として授受される金銭及び手付金その他の名義をもって授受される金銭で、代金に充当されるものであって契約の締結の日以後、取引物件の引渡し前に支払れるもの。
抵当権
民法が定める担保物権の一つ。債務者又は第三者(物上保証人)に用益させたままで、債務の担保として提供した不動産などについて優先弁済を受ける担保物件をいう。債務者(または物上保証人)がその不動産の使用収益を継続できる点が不動産質権と異なっている。債権が弁済されない場合には、債権者は抵当権に基づいて、担保である不動産を競売に付して、その競売の代金を自己の債権の弁済にあてることができる。
接道状況
敷地に対し接している接道義務を満たしているのかの状況や方角を示したもの。
接道義務
都市計画区域内において、建築物の敷地が建基法上の道路(自動車専用道路を除く)に2m以上接しなければならないことをいい、建築物及びその敷地の利用の便宣、避難、消防活動の確保等を図るため、道路のないところに建築物が立ち並ぶのを防止することを目的としている。
敷地面積
敷地の水平投影面積のこと。建物が占める部分だけでなく、一体的に計画される庭やアプローチなど外構部分を含めた土地全体の面積。この広さに応じて、建てられる建物の大きさが建築基準法により定められている。
古いデータに基づく地積(登記簿面積)は実測面積と異なることが多いので注意を要する。また、前面道路が狭い場合などは有効面積が実際より小さくなることもある。
既存不適格物件
事実上建築基準法に違反しているが、特例により違法建築ではないとされている建築物のこと。建基法の規定の施行又は改正の際、既に建っている建築物または工事中の建築物で当該規定に全面的にまたは一部が適合されていないものをいう。既存不適合建築物についてはその適合していない規定に限り適用除外され(同法3条2項)、そのまま存在を認められるが、一定の範囲を超える増改築等を行う場合には、同法の規定に適合するように既存の部分の手直しを行わなければならない。(同法3条3項同法86条の7)
更地
鑑定評価における不動産の類型のうち宅地の分類の一つであり、都計法等公法上の規制は受けているが、当該宅地に建物等の定着物が無く、かつ、借地権等の使用収益を制約する権利の付着していない宅地をいう。鑑定評価に当たってはその土地の最有効使用を前提として、更地並びに自用の建築物およびその敷地の取引事例に基づく比準価格土地残除法に基く収益価格を関連付けて鑑定評価額を決定するが、埋立地、造成地で再調達原価が把握できるときは積算価格をも関連付ける。また、当該更地の面積が大きい場合には開発法による価格を比較考慮する。
期限付き建物賃貸借
平成4年改正の借地借家法で創設された制度だが、平成12年3月1日に廃止された制度で、後の借地借家法第38条で定期建物賃貸借という範疇に内包された。
期限付き建物賃貸借とは、次のいずれかの事情がある場合に、借家契約の更新を否定し、期間満了により借家契約が自動的に終了するという建物賃貸借のことである。
(1)転勤等のやむを得ない理由により一定期間に限り、家主が不在となること、
(2)法令などにより、一定期間を経過した後に、建物が取り壊されることが明らかになること。
用途地域
都市計画法の地域地区のひとつで、用途の混在を防ぐことを目的としている。住居、商業、工業など市街地の大枠としての土地利用を定めるもので、第一種低層居住専用地域など12種類がある。